やってしまった・・・。
昨日泊めてくれた家の奥さんが自転車に乗って忘れ物を届けに来てくれたのである。廊下の洗濯カゴに入れて置いた洗濯ネット3枚をうっかり忘れていたらしい。
これにはありがたいというよりも、むしろ申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。世話になったのに、迷惑をかけてしまうとは最悪である(最悪なのは奥さんの方だぞ!)。
遍路は予定通りには行かないの巻
落ち込んでたら街で飲み物を買ってくるのも忘れてしまった。
自販機がなさそうな匂いがぷんぷんするのに・・・。
いつのまにやら前方にお遍路さんが出現。毎回突然というか、気づいたらなぜかいる感じ。
休憩所には自動販売機があり、安堵のため息をつく。
なお先ほど前方にいたお遍路さんは、高知の女性で区切り打ちだそう。完全に一人で行動している女性のお遍路さんを見たのはこれが初めてかもしれない。
ここのトンネルは割と長め。
営業前だが、トイレが開放されていたので借してもらった(勝手に)。
なんかしらんがポニーちゃんがいる。この辺りに住めば、ポニーを飼うこともできるようだ。
今日はこんな感じの道をひたすら歩く行程だ。
というより、ここから2〜3日くらい寺は無く、その上、なんにもない退屈な国道をひたすら歩くような感じらしい。一応、難所の一つでもあるそうだ。聞いたところによると、自販機が10kmない箇所もあるのだとか。
この辺りには、昔海賊がいたのだろうか?
まぁ、いたんだろう。さずがに海賊もいないのに、“ 本場 ”とは謳えないはずだから。
ひょっとしたら今もいるのか?
唐突な車窓からの景色。その理由は車のお接待を受けたから。
このトンネルを抜けたら、四国2つ目の県である高知県だ。
車に乗せてくれたおじさん曰く、50年くらい前のお遍路さんは托鉢で廻るのが普通だったらしく、川で洗濯したりしているのもよく見る光景だったそうだ。
この話は、かなり衝撃的だった。
またお遍路さんが自分達の代わりにお参りしてくれるというようなことを子供の頃から聞いて育ったと教えてくれたのだが・・・これは確かにその通りだと思う。実際に私もお接待して頂いた方や、お世話になった方のこともお祈りしてしまうからだ。
この画像の中央にある建物は津波用の避難施設らしい。
過去の教訓からこの高さのものが必要だと判断した・・・のかと思ったら、全然違うらしい。過去にこの辺で津波なんて起こったことはないそうだ。
でも南海トラフ地震なんかが起こった日にはとんでも無いことになるのは目に見えているわけなので、備えあれば憂いなしと言える。
ブラジルのおじさん
なんと室戸岬まで送って頂けた。
左のおじさんは、ご両親がブラジルに渡ったそうでブラジル生まれブラジル育ち。右のおじさんは、高知の方で、ここ12年ほど仕事のためにブラジルに住んでいるのだそう。
右のおじさんの家族は高知県に住んでいるので、帰国した際に(年1くらい)に逆ヒッチハイクをやってるのだそうだ。
ちなみにその結果はこんな感じらしい。
おじさん1人で運転の場合 | 奥さんと一緒に乗ってる場合 | |
---|---|---|
初めてのお遍路さん | △断ることが多い | △断ることが多い |
2回目以降のお遍路さん | ◯乗る | ◯乗る |
女性のお遍路さん | ×乗らない | ◯乗る |
初めて廻るというお遍路さんは、やはり歩きにこだわる人が多いらしい。が、遍路に慣れた人ほど、弘法大師の化身とか、弘法大師のお導きといったように受け取るらしく、抵抗なくあっさり乗車するのだとか。そして女性は、おじさん1人だとやっぱり警戒するみたい。でもそりゃしょうがないのかも。
ここに至るまでの道は、海沿いなのに海の見える箇所もあまりなく、本当になんにもない退屈そうな道だったので、個人的には拾ってもらって良かったのかもしれない。ちなみに私は元々歩きにこだわってるわけでもないので、ついてるな、としか思わなかった。
最御崎寺 奥の院
弘法大師が一夜で建立したという穴倉。もちろんツルハシなどを使ったわけではなく、“ 謎の力 ” のようだ。うーん、信じるか信じないかはあなた次第って感じの話である。
なお明治初年までは、女性用の納経所はここだったらしい。今だったらフェミニストがブチギレそうな話だ。
一応、遍路道と書いた札が塀の付近にぶら下がってるが、非常に分かりにくかった。
ここを登れば・・・
第24番 最御崎寺(ほつみさきじ)
この寺に来るまで2泊する予定だったのに、あっさり到着してしまった・・・。
しかし、困ったな。明日、シンさんと美人女将がいるという宿に泊まる約束をしていたのに、図らずも約束を破ることになってしまった。連絡先も知らね〜。
“ 遍路は予定通りにはいかない ” とは聞いていたが、その通りだ。もちろん足の怪我も含めて。
遍路ではなにが起こるか分からないので、あまり約束の類はしないほうがよさそうだ。
相撲ってのは神事の側面もあるから、寺に土俵という組み合わせは珍しい気がするけど、どうなんだろう。あんまり関係ないのかな。
あと境内を見渡しても、知った顔がない。当たり前だ。新鮮な反面、人間関係がまた一からやり直しとなるとちょっとめんどくさいとも思ってしまった。
変わった3人組
寺で会った不思議な組み合わせの3人組。
【兵庫のおじさん】に伺った所、3人は11番の藤井寺から同じようなペースで廻っているとのこと。あと兵庫のおじさんの足が肉刺だらけだったことに驚いた。これは普通の綿の靴下に加え、トレッキングブーツを履いていることが原因のようだ。
おじさんは、ひーひー言いながら彼らについていってるらしい。
山を下ろうとしたら、道が封鎖されていた。トライアスロンの大会のため14時まで全面通行止めらしい。
10分前くらいに出た3人組の姿が見当たらないが、ひょっとして来た道を戻っていったのかな?
警察官に話を聞くも、遍路者も例外ではないらしく足止めを食らうことに。これは弱ったぞ。
しかし警察官と話してる最中に最後尾の自転車が通過し、その3分後には解除された。
見晴らしが良い。でも遍路ではこういう景色を観れる山や峠は案外少ない。
ドリフトしやすそうな坂道を下る。
そして沿岸部の道ではなく、地図のルート通りに進むことに。
扉の張り紙には『おにぎり、うどんできます』と書かれていた。
ここで昼食をとるのも良さそうだ
・・・と思ったが、臨時定休日だった。
個人経営店はこういうこともあるので注意が必要。
右か左かでしばし悩む。
遍路地図は細かい道が載ってないことが多いのだ。
左の道は、繋がっていなかったようで行き止まりだった。
賭けに勝ったぞ!!!
・・・と言いたい所だが、実は最初左の道に行ってしまって、引き返して来ただけ。約700mのロスだ。トンマなもんでこういうことはよくある。
ノルウェーから来た男性
ノルウェー人の【タリアイ】。
ぱっと見、20代かと思ったが、41才だそうだ。かなり若く見える。だがそこは本人も自覚しているらしく、「ベビーフェイスだから髭をはやしているんだ」と言っていた。
彼と話しつつ、ちんたら歩いていたら、先ほどの【20代の女性】が後方から現れた。やはり引き返して回り道して来たらしい。彼女に英語が話せるかどうか聞いたら「分から〜ん」との返答。おれも分から〜ん。
でもタリアイは先ほどの3人組とも宿が同じだったりしたこともあるそうで、お互い顔見知りなんだと。
パンパンパンパン手を叩くのが、トライアスロンでの応援の仕方らしい。見よう見まねで応援しながら歩く。
トライアスロンを見にきてる方達に「あんたらも頑張れ」と応援して頂いた。
20代の女
先ほどの3人組の女性。
彼女は適度に早い為、ペースメーカーに丁度良い。おまけに順路のことをなにも考えずに歩けるので、ものすごく楽。こりゃいいぞ、と女の尻を追いかけることにした(意味は違うけども)。
おそらく彼女はスマホアプリの“ グーグルマップ ” を使用して歩いているのだと思われる。
ここでも2〜3分、通行止めを食らった。
第25番 津照寺(しんしょうじ)
彼女は、次の寺も打つとのこと。また後ろをついて行きたいと思ったので、いつ頃出るのか尋ねた所、「私一人で歩くのが好きなんで!」と突っぱねられた。
なんて感じの悪い女だろうか・・・
さっき兵庫のおじさんの手を引っ張って「ほら、行くよー」とか言ってたくせに・・・
でも後ろでおっさん2人(タリアイと私)がごちゃごちゃしゃべりながらついて来るってのは気が散るというか、単純にいやだったのかもしれない。そりゃそうだ。
そもそも楽しようなんてちょっと甘ったれな考えだとも思ったので、残念だという旨を告げ、先に一人で進むことにした。
太陽光で水面が輝いてる。
ここに来るまで、1回道に悩んだ。
ここに来るまでにも1回道に悩んだ。やっぱり面倒臭い。一度、楽を覚えてしまうとダメだな。
私の場合は、基本的には遍路地図を利用し、迷った時は人に聞く。大体毎日2〜3人くらいには聞いているだろうか。なお周りに人がいない場合で迷った際には、スマホアプリの“ MAPS.ME ” を使用し、遍路地図と照らし合わせて現在地を確認する感じだ。今の所は。
遍路道保存協会が発行している『四国遍路ひとり歩き同行二人〔地図編〕』のこと。
ルートだけではなく、宿、標高、バスの時刻表、タクシーの電話番号なども記載されている。なお遍路に来る日本人の9割以上がこの地図を持参している。
グーグルマップなどのナビゲーションは、まだ利用していない。(理由は後述する)
コンクリートの坂道からの・・・
未舗装路山道を登ったら・・・
第26番 金剛頂寺(こんごうちょうじ)
札所兼本日の宿に到着!
今日のお宿 金剛頂寺宿坊
おまんま。
タリアイが困ってたので、3人寄れば文殊の知恵作戦。
でも手前に写ってるおじさんは割と英語が話せるので、私はただヘラヘラしていただけ。
遍路地図を見ると、明日行く27番寺付近の宿は1つしかない・・・と思いきや、他にもあるとの情報。遍路地図に載ってる『ドライブイン27』以外にも、『民宿 唐の浜』と『浜吉』があるそうだ。 なお場所は3件並んだ感じなので、行けば分かるらしい。
お二人とも何回か廻られているそうだが、こういう情報は遍路初心者には非常にありがたい。
タリアイは、ミラーレス一眼で撮った画像を色々見せてくれた。どうやら旅ブログをやっているみたいだ。
食後、唐の浜に予約の電話・・・をしたつもりが、なんと間違って浜吉に電話をかけてしまった。かけ直すのもあれなので、明日の宿は浜吉に決定。
歩数 | 29649 歩 |
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距離 | 約 86 km (実際に歩いた距離は約 18 km) |