2023年は『弘法大師御生誕1250年』でしたが、この年を境に遍路が大きく変わっていくかもしれません・・・というお話。
過去の歩き遍路者についての傾向(日本人と外国人)
グラフを見れば分かる通り、ほとんどの歩き遍路者は日本人でした。
そして数は少なくゆるやかにではありますが、外国人遍路者は一応年々増加傾向にありました。
2023年の歩き遍路者について(日本人と外国人)
上半期の歩き遍路者の人数
こちらは11番藤井寺前にある『お遍路サロン へんろの里』での情報です。
上半期のハイシーズンである3〜5月のお遍路さんに注目してください。
日本人に関しては、某新型ウイルス前の水準に徐々に戻ってきたという感じですが、外国人に関しては、2023年から急激に増えていることがわかります。
では遍路のために訪れた方ではなく、四国に旅行に来た観光客はどうなのでしょうか?
上記の『グラフ』と『表』は、四国運輸局の宿泊旅行統計調査です。
インバウンド需要が急激に高まっているのが見て取れると思います。
下半期の歩き遍路者の人数
こちらも11番藤井寺前にある『お遍路サロン へんろの里』での情報です。
注目すべき点は、下半期のハイシーズンである9〜11月。なんと10月11月は日本人の数より外国人の遍路者の人数が上回るという事態になっています。
ここまで6日間で出会った歩き遍路さんは日本人40人、外国人31人。この割合は今までなかった。今年の春が過去最高の24%だった。遍路道の風景は確かに大きく変貌しようとしている。
— WALKER’S (@kusb7525) October 23, 2023
毎年遍路に行かれている方も2023年秋での変化は感じ取っているご様子。
今後は日本人より海外からの遍路者の方が多くなる?
▶︎ 【Jの追跡】(2023年7月8日)
▶︎ 【Jの追跡】(2023年8月6日)
某新型ウイルス以降の遍路の傾向を端的にいえば
・円安による物価高、保険料+税金UP→日本人遍路『減』
・円安によるインバウンド→外国人遍路『増』
ということだと思います。
これから遍路に行く方に関しては、国際色豊かな旅路になり、より楽しめるようになると思います。
また遍路が世界遺産になるには、外国での影響力も重要なので、その点に関しては追い風になるかもしれませんね。
ちなみに私が遍路で会ったのは、欧米だとフランス、ノルウェー等、アジアだと韓国、シンガポール等でしたが、基本的皆、遍路のことや日本の文化等を事前に調べてきていましたし、マナー自体は良かったと思います。
今後宿は取りにくくなるの?
これから遍路に行く方で宿が取りにくくなることを懸念している方も多いかもしれませんが、おそらく問題ないと思います。
もちろん某新型ウイルスの影響で休業・廃業してしまった宿もあります。しかし客足が戻ってきたことにより廃業はしたが重要な場所なので復活したという宿もありますし、なんだかんだで必要な場所には新しい宿ができたりもしています。
元々予約を取りにくい宿は取りにくいですし、宿さえ選ばなきゃ宿がないという事態にはならないと思います。少なくとも宿が取れなくて仕方なく野宿したというような話を聞いたことはないですし、ネットでもそういうことを言っている方はまだいないようです。
一応、海外の方も単独で来る方よりもトレッキング目的のツアー客が多いらしいです。その辺りは日本人のバスツアー客と同じですね。団体客ゆえ、大人数を収容できるホテル等に泊まるため、民宿などの歩き遍路者が普段利用する宿はそこまで影響がないと思います。
ただ『あくまで今のところは!』といった感じで、海外から単独で来る方が急激に増えたら今後はどうなるか分かりませんけど・・・。
ちなみに宿に関しては上記で触れたお二人が詳しい情報を発信しているので、そちらをご覧ください(なので私はこのサイトで宿の基本情報と高野山の宿情報しか書いてません)。
▶︎ 遍路宿ドットコム
ちなみに遍路地図も日本語版と英語版では掲載している宿が若干違うので、宿が心配な方は『日本語版』。むしろ海外の方と積極的に交流したい方は『英語版』を選んだら良いのではないでしょうか。
▶︎ 日本語版
▶︎ 英語版
遍路宿に関しては、実際の所、お遍路さんのために年金切り崩してやっている民宿なんかもあったので、儲かるからやっているみたいな所はほぼないような気がします。
ありがたい反面、逆にそれはそれで問題のような気もしますが・・・。
終わりに
アンケートに答えた人数は44人とサンプル数が少ないですが、四国の人は『自然体に任せるべき』という答えが多数でした(増やすべきではないという反対意見がわずか4.5%)。
四国の方は懐が深いというか、諸行無常を感覚的に理解しているのかもしれないですね。